出版社内容情報
世界の女性はどこでどのように働き、活躍し、生活しているのか? 結婚と離婚、DV、出産・避妊・中絶、美容、性、オリンピック、識字率、選挙権、軍隊などの具体的なテーマに基づき、カラフルな世界地図と図表で示した画期的ジェンダー統計。
序文
第1部 世界の女性
1 女性の現状
2 女性の居場所
3 差別に対する各国の対応
第2部 家族
4 世帯
5 結婚・離婚
6 レズビアン
7 ドメスティック・バイオレンス
8 殺人
第3部 出産に関するさまざまな権利
9 母となること
10 避妊
11 人工妊娠中絶
12 妊産婦の死亡数
13 男児出産を好む傾向
14 人口政策
第4部 身体の政治学
15 乳がん
16 HIV/エイズ
17 スポーツ
18 美
19 アンダー・ザ・ナイフ
20 世界のセックストレード
21 レイプ
第5部 労働
22 賃金のために働く
23 働く場所
24 機会の不平等
25 農業
26 アンペイド・ワーク
27 人口の国際移動
第6部 持てる者と持てない者
28 識字能力
29 学校
30 高等教育
31 インターネットと女性
32 資産
33 貧困
34 債務
第7部 権力
35 選挙権
36 政府内での女性
37 権力の座
38 危機地帯
39 軍隊のなかの女性
40 女性の組織化
(資料)人口統計と健康
(資料)学
訳者あとがき
本書は、アメリカのバーモント大学教授であるジョニー・シーガーが、世界の女性の状況の数値がひと目みて分かる方法はないだろうかと研究し、世界地図を割合ごとに色で塗り分けるという方法を考えつき、表した本の翻訳です。ジェンダーに関する項目を40に分け、それぞれの統計数値を世界地図上に色分けし、解説がつけられています。本書は原著の第3版を翻訳したものです。ジェンダー統計とは、男女間の不平等の状況を数値と把握するため、性別区分をもつ統計をさしますが、ジェンダーの視点を取り入れた統計の必要性が認められようになったのは、1975年の国連女性年あたりからです。国連やその関係機関では統計実施にあたり、ジェンダー視点を持つ調査が広がっていきました。特に1995年の第4回国連世界女性会議では重要な課題となりました。このように、ジェンダー統計はさまざまな分野で実施されるようになりました。しかし、それらはグラフや図表形式で表されたものばかりでした。それをより分かりやすく表したのが本書であり、フェミニストでもあり、地理学者でもあるシーガーならではの著作です。ジェンダー学の入門書として最適です。
前述のとおり女性に関す女性の問題はどれも単独で解決するのは無理なのだということが説得力をもって描かれているのが本書です。
また、日本では最近プチ整形が盛んですが、「美」のページを開けると、アメリカではどのような美容外科が身体のどの部分に行われているのか分かります。貧困、土地の所有、国会議員数、アンペイド・ワークなどにおける各国の女性の現状も世界地図と解説文で明快に理解できます。「インターネットと女性」という項目もあり、インターネットユーザーのうち先進国では女性の割合は多いが、インターネットにアクセスできない女性がいる国もまた多いというのも分かります。
本書の世界地図をみると、各国間の差異もよく理解できます。地図には説明書きがついています。そこには統計がないとか、あるいは公表されているデータ、入手可能なデータという説明がなされていて、翻訳していて、データを取ることもできない国で生活している女性の地位はどうなのだろうかと考えさせられました。依然として世界各国で、女性は厳しい状況に置かれているのです。(後略)
目次
第1部 世界の女性
第2部 家族
第3部 出産に関するさまざまな権利
第4部 身体の政治学
第5部 労働
第6部 持てる者と持てない者
第7部 権力
著者等紹介
シーガー,ジョニー[シーガー,ジョニー][Seager,Joni]
地理学・女性学の専門家であり、また環境政策・分析にフェミニズムの視点を導入した仕事でも広く知られている。米国バーモント大学地理学教授。Committee on Women、Population and Environment(CWPE)の創設メンバーのひとりであり、また女性の言論・表現活動をサポートする組織Center for New Wordsの共同ディレクターのひとりとしても活躍している
原民子[ハラタミコ]
心理カウンセラー。東京ジェンダー統計研究会メンバー。1970年慶応義塾大学文学部英文学科卒業。(株)野村総合研究所で普通のOLとして勤務。結婚退職。専業主婦、転勤族の妻としてPTA活動などを行う。離婚後、再就職し、1999年に渡英し、2001年英国ウォーリック大学大学院ジェンダー学修士課程を修了。帰国後、元夫と復縁。杉並区での地域活動の傍ら、ジェンダー学の研究を続行中。ベティ・フリーダン『老いの泉』翻訳メンバー
木村くに子[キムラクニコ]
東京家政学院大学、杉野服飾大学・同短期大学部非常勤講師。法現象をジェンダーの視点から学んでいる
堀口悦子[ホリグチエツコ]
明治大学情報コミュニケーション学部助教授。国際女性の地位協会理事。ジェンダー論、ジェンダー・コミュニケーション、ジェンダー法学専攻
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